当然、自分の家でも、親に「ケーキ買ってきて！」とリクエストすることも滅多になく。
そういう子供だった私が、初めてひと皿ぜんぶ、きれいにペロリと平らげてしまったケーキ。
それが『Top's(トップス)』のチョコレートケーキでした。
当時、赤坂のTBS会館にお店が出来て、叔母が気に入ってしょっちゅう買って帰ってきていたのを、叔母の家の近くに住んでいた私もご馳走になることになったわけですが、最初はまったく興味もなく。「私、ちょっとでいい」と、ケーキを切り分ける叔母に自分のお皿を差し出していたよねと記憶してます。…しかし、それが。
それがそれが、、…ですね。
特に期待もせずひとくちいただいてみたケーキは、なんともマイルドな味と香りのチョコレートクリームに、しっとりふんわりした優しい口あたりのスポンジ。そのトーンというか存在の質感に、それまで認識していた「ケーキ」のイメージが、けっこうガラリと大きく、塗り替えられるコトになったのですよ。
スポンジにサンドされたチョコレートクリームは、良質の生クリームもブレンドされたスイスチョコレート。砕いたクルミも入って、しっとりクリームとスポンジの中からたまに現れるクルミの絶妙な歯ごたえにも、新鮮なインパクトがありました。
それまで口にしていたケーキの甘さがビビッドな"原色の甘さ"だとしたら、トップスのチョコレートケーキは、言わば"パステルカラーの甘さ"。ハンドメイド感たっぷりの、その優しい甘さに完全に心を奪われました。
この出会いの瞬間から何年かの間は、「週一で食べたい」と毎週叔母にお土産を催促するほど、とにかく気に入ってハマってしまってました。「正直ケーキは好きじゃなかった」子供を、ケーキ大好き少女に変えたのが、このチョコレートケーキだったのです。
こうしてトップスのチョコレートケーキにハマった少女は、さらに、トップスには白く美しい、まるで貴婦人のようなチーズケーキも居ることを知ります。
その、エレガントな生クリームのレリーフ。
生クリームのドレスの中には、デンマーク産の濃厚なクリームチーズがぎっちり。控えめな甘さとともに爽やかなレモンの酸味が効いたハードタイプのレアチーズケーキは、底を支えるサクサククッキーの心地良さとともに、チョコレートケーキとはまるで異なるスイーツの魅力をまた、少女に教えたのでありました。
そしてウン十年後。東急東横店でも買えるチョコレートケーキとレアチーズケーキは、あの頃と何も変わることのないあの味で、今もたくさんの人々に愛されており。
これぞ、「本物のブランド」なんだなぁ…と、敬意を表しつつ原点回帰。
やっぱり、美味しいです。
しかも今初めて気づきましたが、このレアチーズケーキ、冷凍庫で固めてから食べても結構イケるんじゃない？と。チョコレートケーキの方も、冷やし固めたらアイスケーキ感覚でイケそうな気がする。…また次の機会に、実験結果をお伝えしてみたいと思います。
変わらない美味しさって、すごいですね。
心から満足です。ごちそうさまでした！
トップス 渋谷店 （ケーキ / 渋谷駅、神泉駅）
昼総合点★★★☆☆ 3.5